7月のワンダーフェスティバル2023[夏]は、先日当日版権の本申請が終了し、これから各ディ-ラーさんは最後の詰めに入っていくところかと思います。世の中デジタル造形が主流になり、複製業者さんはずいぶん早くに受注予約がいっぱいになり、ガレージキットをめぐる状況もいろいろと変化が起こっています。
そんな中で、当日版権の状況はどうなっているかをまとめておこうというのが当記事の趣旨。ワンダーフェスティバル実行委員会からいただいた資料と、こちらが独自に集計したデータででワンフェス2023[冬]を振り返りたいと思います。
※特に記載がない場合は、ワンダーフェスティバル実行委員会提供のデータ
入場者数、ディーラー数
当日版権の前にまず各種基礎データ。
来場者数は約35000人。前回の22年夏は21094人、前々回22年冬は13160人なので着実に増加中。なお過去最大来場者数を記録したのは2016年冬の56051人でした。そこをピークにジワジワ減少傾向で、コロナ前最後の開催となっていた20年冬は48888人。ただ、この時はすでにコロナ流行の兆しもあり海外(特に中国)からの参加もしにくいという状況でもあったので、50000人参加者があればコロナ前に戻ったという基準になるかと思います。そういうことで、23年冬は7割まで入場者数は回復したといえるでしょう。
次にディーラー数ですが、23年冬は1694ディーラーでした(ディーラー参加人数は7090人)。22年夏は1427(キャンセル113)、22年冬は1000(キャンセル487)。あらためて確認してみると、22年冬のキャンセル率の約1/3というのはとんでもない数字です。
1ディーラー平均で何卓とるかによってディーラー数は若干上下しますが、コロナ前は4~8ホールを使ってだいたい2000ディーラーでした。コロナ後はソーシャルディスタンスをキープするために通路を広くとるなどしたため、1500ディーラー程度に絞られていましたが、23年冬は参加ディーラー数を調整して増やしたようです。もともと参加ディーラーは抽選落ちが必ず出る(ワンフェスの場合は大手ディーラーへの忖度無しで純粋に抽選していたようなので、過去には超人気ディーラーが落ちたこともありました)状況なので、このディーラー数は実行委員会の判断次第の部分。この夏どうなっているか、注目したいところです。
当日版権申請総数
続いては、当日版権申請総数の推移を見ていきます。
2023年冬ワンフェス | |
---|---|
予備申請総数 | 4396 |
本申請総数 | 3692 |
本申請許諾数 | 3565 |
なお、当日版権を申請したディーラーは1091で、ディーラー全体の約2/3です。
過去のデータは
2022年夏ワンフェス | |
---|---|
予備申請総数 | 3358 |
本申請総数 | 2861 |
本申請許諾数 | 2777 |
2022年冬ワンフェス | |
---|---|
予備申請総数 | 3283 |
本申請総数 | 2656 |
本申請許諾数 | 2510 |
ちなみにコロナ前は以下のような状況でした。
2020年冬ワンフェス | |
---|---|
予備申請総数 | 5895 |
本申請総数 | 4287 |
本申請許諾数 | 4183 |
1卓あたりの申請数は上限があるので、だいたいディーラー数に比例する形で推移しています。
作品別当日版権申請数
23年冬の当日版権、作品別のリストは以下の通り。
作品名 | 予備申請数 | 本申請許諾数 | |
---|---|---|---|
1 | ウルトラマン(シリーズ合計) | 216 | 189 |
2 | ウマ娘 プリティーダービー(シリーズ合計) | 254 | 186 |
3 | Fate(シリーズ合計) | 229 | 182 |
4 | 艦隊これくしょん(ブラウザゲーム版) | 123 | 103 |
4 | アリス・ギア・アイギス | 122 | 103 |
4 | ゴジラ(シリーズ合計) | 120 | 103 |
7 | ホロライブ | 108 | 89 |
8 | アズールレーン | 90 | 72 |
9 | THE IDOLM@STER(シリーズ合計) | 73 | 63 |
10 | 装甲騎兵ボトムズ(シリーズ合計) | 59 | 57 |
11 | 原神 | 76 | 53 |
12 | マクロス(シリーズ合計) | 58 | 49 |
13 | ブルーアーカイブ | 76 | 48 |
14 | ZOIDS(シリーズ合計) | 54 | 47 |
15 | メイドインアビス | 50 | 38 |
16 | にじさんじ | 45 | 37 |
17 | DARK SOULS(ダークソウル)(シリーズ合計) | 39 | 35 |
18 | ELDEN RING | 48 | 34 |
19 | 東方Project(シリーズ合計) | 45 | 29 |
19 | ロックマン(シリーズ合計) | 35 | 29 |
この数年、『Fate/Grand Order』人気で『Fate』シリーズが1位を継続していたのを、22年夏に『ウマ娘 プリティーダービー』がわずか1つ差で抜いて1位になっていたのですが、23年冬はなんと『ウルトラマン』シリーズが1位に! 正直これは驚きでした。
もともと『ウルトラマン』シリーズは、ワンダーフェスティバル最初期からの人気タイトル(最初期は美少女キャラクターはあまりなく、怪獣など特撮モノが中心)であり、近年も上位常連(22年夏冬とも3位)ではありましたが、ここにきての『Fate』と『ウマ娘』を抜いての1位。ただ、データを細かく見るといろいろと面白いところがあります。
まず予備申請数で見ると、『ウマ娘』が群を抜いて1位、以下『Fate』が続き『ウルトラマン』は3位となります。
また、『Fate』は実質上『Fate/Grand Order』中心、『ウマ娘』もほぼゲーム版が中心と1タイトルに集中しているのに対して、『ウルトラマン』シリーズはかなりばらけています。シリーズ区分ではなく単体作品で順位を出す場合はかなり下がるはずです。
4位以下、『艦隊これくしょん -艦これ-』『アリス・ギア・アイギス』『ゴジラ』『アズールレーン』『アイドルマスター』『ボトムズ』あたりは定番的なタイトルが並んでいます。
そんな中で特に注目したいのは、7位の「ホロライブ」と15位の「にじさんじ」。Vtuberは最近一般販売の完成品フィギュアでも注目されていますが、当日版権でもこのとおり。Vtuberはディーラー検索では探しにくく(キャラクター名がバラバラで種類も多いため)、当日版権の数は多そうだとは思っていてもどの程度あったのかわかりにくかったのですが、このようにまとめられているのは助かります。
また、『原神』は22年冬14位→22年夏13位→23年冬11位、『ブルーアーカイブ』も22年冬20位→22年夏17位→23年冬13位といずれも着実に上昇中。この2タイトルも今後要注目。
『Fate』と『ウマ娘』の申請数の推移ではちょっと面白いことも。コロナ前は『Fate』シリーズが1位をずっとキープしていました。そのころ『ウマ娘』はゲームスタート前で、メディアとしてはテレビアニメがメインだったのですが、申請数はけして多くありませんでした。20年冬だと『Fate』シリーズは予備申請数が663、本申請許諾数が490と数値の上でも圧倒的だったのですが、現在の『Fate』と『ウマ娘』を併せると、ちょうどコロナ前の『Fate』の数に近づきます。つまりは以前の『Fate』の数が『ウマ娘』と二分された結果が現在の状態ということもできそうです。
なお、20年冬は『ウルトラマン』が2位だったのですが予備申請数226、本申請許諾数214で、今回とあまり変わっていません。このあたりは周辺の影響を受けていないことが分かります。
当日版権申請ディーラー数
さらに、当日版権申請数は、申請ディーラー数をあわせて見るとまた面白いことが見えてきます。
なお、このデータは実行委員会のオフィシャルなものではなく、ワンフェス公式サイトの検索機能を使ってホビーマニアックスで独自集計したものになります。なので数え間違えてる可能性もありますので、ご了承ください。
作品名 | ディーラー数 |
---|---|
Fateシリーズ | 105 |
ウマ娘 | 100 |
ウルトラマンシリーズ | 71(うち『シン・ウルトラマン』8) |
艦隊これくしょん -艦これ- | 44 |
アリス・ギア・アイギス | 44 |
アズールレーン | 40 |
THE IDOLM@STER | 34 |
ブルーアーカイブ | 32 |
原神 | 28 |
装甲騎兵ボトムズ | 21 |
主な作品のディーラー数は以上の通り。
申請ディーラー数では『Fate』シリーズが1位となり、以下『ウマ娘』『ウルトラマン』が続きます。
過去の『Fate』と『ウマ娘』の申請ディラー数ですが、22年冬と夏はいずれも『ウマ娘』の方が上回っていました。22年冬は『ウマ娘』95で『Fate』92、22年夏は『ウマ娘』94で『Fate』87。ですが、申請許諾数だと22年冬は『ウマ娘』144で『Fate』166、22年夏は『ウマ娘』159で『Fate』158。22年夏はわずか1つ差で1位、22年冬は『Fate』の方が上回っていたのです。このあたり、1ディーラーあたり何点出しているかというのとも関係があるでしょうし、いろいろと面白いデータです。
『ウルトラマン』シリーズが1位になったのには『シン・ウルトラマン』の影響があるのかもと思っていたのですが、極端に多いというわけでもありませんでした。もちろん全く影響が無いわけではないでしょうが。
23年夏は?
今回も『Fate』『ウマ娘』『ウルトラマン』あたりが安定の上位陣になるのは変化はないだろうと思われます。ここに、再び当日版権が降りるようになった『ガールズ&パンツァー』がどうなるかというところが注目でしょう。コロナ前は『ガルパン』は上位常連の人気タイトル。常に新キャラクターが供給されているソーシャルゲームと違って、そんなに新要素が出続けるわけはないのですがその人気は根強いものでした(出続ける新要素というとゲームでの家元達の新衣装はありますが、ワンフェスで求められるものとはちょっと違うでしょうし)。
新たなタイトルとして気になっているものとしては『勝利の女神:NIKKE』。まだ上位に食い込むとは思えませんが、どのくらい出ていて、どのような反応になっているか?
何のかんのでワンフェスまであと2カ月ちょっと。同日には橋を渡った幕張メッセ9~11ホールでは「Fate/Grand Order Fes. 2023 夏祭り ~8th Anniversary~」が開催されたりもしています。そんななかで今回のワンフェスはどんなことになるか、今後の発表と当日の様子を楽しみましょう!
※追記
前回、2022年夏の当日版権申請数の状況は
【ワンダーフェスティバル2022夏】当日版権申請個数ランキング&状況、23年冬状況まとめ
この記事を参照してください。
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