グッドスマイルカンパニー企画部の榎本龍馬氏に、『オーバーウォッチ』メイとトレーサーのねんどろいどについて語っていただきました。
―どんなことを担当されていますか?
榎本:企画部でUSチャイナセクションに所属して、主に弊社の商品を海外に向けてお届けする仕事をしています。企画のスタートから最終的に販売するまでのすべてのプロセスにかかわる業務をやっています。
―仕事で大変だと感じることはなんですか?
榎本:お客さんに喜んでもらえるように、たくさんのパーツや細かい造形を無限に盛り込んでいくとどうしても価格が高くなってしまうことが多いです。しかし、価格が高いとお客様も買いにくくなってしまうので、お客様のニーズを考慮した価格設定にするための取捨選択は苦渋の決断だったりします。時には「高くなってもやるべきだろう」と思い切ってやることもあるのですが、そこを「よくやってくれた、コレなら買うよ」とユーザーさんから言ってもらえたりするとやりがいを感じますね。
メイとトレーサーを手がける榎本氏
―他にやりがいを感じる瞬間は?
榎本:今回のトレーサーとかメイにも言えるんですけど、やっぱり僕も作品が好きで企画を進めています。ファンならどういう反応をするか、こうしたら喜んでくれるんじゃないかと思って、パーツ等の仕様や可愛いポイントをいろいろ盛り込んでるんです。そういう狙ったところにお客さんが反応してくれると、お客さんと同じ視点で好きなものを共有できたと感じますね。
―ねんどろいどのメイとトレーサーはどのようにして開発が始まったのですか?
榎本:『オーバーウォッチ』という作品の中でトレーサーは群を抜いて人気が高いのは、僕もゲームのファンなので知っていたので、やはり最初はトレーサーがいいんじゃないかということでスタートしました。
ねんどろいど メイも続いて登場!
次のメイですが、こちらも女の子のキャラとして可愛いだけではなく、ゲーム中でもこのキャラを使ってプレイしているファンも多く、人気が高いので2人目として選びました。
『オーバーウォッチ』のキャラクターデザインのシルエットや色使いは、デフォルメと相性がいいので絶対に可愛くする自信がありました。
―特にこだわってるパーツは?
榎本:トレーサーにはあまりねんどろいどではやっていなかった前髪の可動があるんです。トレーサーがゲーム中で前髪をふっと吹き上げる仕草があるんですけど、それを仕込んだらいいんじゃないかと、社内の他の『オーバーウォッチ』好きのスタッフと話が出たんです。やはりこれに関しては大きな反響をいただけました。口元の吹き上げてる感じとかもねんどろいどにうまくはまって良いギミックになったのではないかと思います。
発表された写真から、髪を吹き上げるギミック
―メイの方はどうですか?
榎本:メイはもともとふくよかなキャラクターだったのでねんどろいどとの相性は初期の段階からバッチリだったんです。見てほしいのは背中のスノードローンですね。取り外し可能な大きなパーツで、ゲーム中のシーンを再現出来ます。
同じくリリース写真から、メイのスノードローン
オーバーウォッチねんどろいどの仕掛け人!
―課題となる部分はありましたか?
榎本:ゲーム中、いろんなアクションをするキャラクターなので付けようと思えばいろんなパーツも付けられる。ただ、『オーバーウォッチ』という作品をきっかけに、これまでねんどろいどを知らなかったお客さんにこの商品を手にしてもらえることを目指すためには、ちょうど良い価格帯で出すということを熟慮しました。
―同じ業界でリスペクトしている方は?
榎本:日本のホビーメーカーさんはどこもオリジナリティあるシリーズを展開されていて、勉強になる部分も刺激になる部分もあって、そういう意味ではどの会社もリスペクトしていますし、個人的にもそのフィギュアをたくさん買っています。
―GSC内では?
榎本:GSC社内にもリスペクトしている人はたくさんいます。今回の『オーバーウォッチ』のねんどろいどに関していえば、原型ディレクターをやってくれた高野さんには、こんなに可愛くしてくれてありがとうと言いたいですね。
仕事の上でさまざまな厳しい判断を迫られることも
―今後やってみたいことは何ですか?
榎本:今まで「ねんどろいど」として多種多様なキャラクターが出てるんですが、僕は映画やゲームのおじさんキャラクターを担当することが多くて、デフォルメフィギュアのおっさんフィギュアを一番多く作ってきたという自負があるんで(笑)、もっとたくさんのおっさんキャラクターのフィギュアを世に出したいですね。
―『オーバーウォッチ』のねんどろいどは今後も続きますか?
榎本:はい、『オーバーウォッチ』のファンとしても続けたいですね。
―ねんどろいどの企画開発はどのぐらいの期間がかかりますか?
榎本:最低でも約10カ月かかります。原型を作るのが一番時間がかかりますね。企画部は17人いるんですが、みんな同時にいくつものフィギュアの進行をしています。
エアブラシ作業。GSCのスタッフは手練れ揃い!
―リリース写真ではよく大理石風の背景を使っていますが、これはどうしてですか?
榎本:シンプルな背景の方がフィギュアが魅力的に写るので、大理石や一色の背景を使っています。もちろん、商品によってはあえて派手な背景を選ぶ場合もあります。
―最後にねんどろいどと『オーバーウォッチ』のファンに何かメッセージがありますか?
榎本:トレーサーとメイのねんどろいどは、ゲーム中のキャラクターの魅力を可愛く再現できたと思います。『オーバーウォッチ』とねんどろいどのファンの人たちに好きになってもらって楽しんでもらいたいですね!
グッドスマイルカンパニーと榎本氏は『オーバーウォッチ』の人気キャラクターを可愛く再現し、ファンなら絶対に手に入れるべきねんどろいどをこうして作り上げたのです!
インタビュアー: 瀬山隆祐
写真: 原哲也
翻訳元オリジナル記事:Art of Figure Making: Overwatch, Good Smile Company and Nendoroids
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