アワートレジャーの新作フィギュア、「渡辺 曜【Summer Queens】」をアワートレジャー『ラブライブ!サンシャイン!!』渡辺 曜【Summer Queens】《その1》半完成品フィギュアとは?でざっくりチェックしましたが、実際にパーツ状態のサンプルをお借りして塗装&組み立ての作例を製作してもらいました。
商品の彩色を担当したまいもっち氏が手掛けたキッチリした塗装作例は、アワートレジャーのBLOGで掲載予定とのことなので、こちらは簡単塗装作例という縛り。基本的には近所の100円ショップで手に入るもので作っています。
作例をお願いしたのはモデラーの石井正明氏。フィギュアマニアックスというフィギュア専門誌で、PVCフィギュアの改造作例記事「ビは塩ビのビ」を連載していた方で、その記事は単行本「ビは塩ビのビ PVCフィギュア改造マニュアル」としてまとまっています(AMAZONでは売り切れてプレミア付いてますが、ヨドバシには在庫があります)。さまざまな技法を紹介した非常に面白い本なので、ぜひ!!
ということで、久々の「ビは塩ビのビ」、お楽しみください!
ビは塩ビのビ「アッセンブル・ヒロインズ 渡辺 曜【Summer Queens】」
作例製作・解説 石井正明
■100均素材でフィギュアを作ろう!
顔や髪のグラデーション含めて完成品の頭部と、パーツ状態の体をセットにして半完成品で販売というコンセプトが非常に興味深いこのフィギュア。
今回はそのほとんどを100円均一ショップの材料を用いることで、出来る限り敷居を下げつつ、フィギュアの長所を引き出す塗装表現に挑戦するのです。
■ベースメイクは紙やすり
成型品にはパーティングラインと呼ばれる金型の合わせ目が存在します。これを紙やすりで削ってキレイにするのです。
編注:製品はパーティングラインの処置は簡易的に行われていますが、よりスベスベにしようということです。
両脚はABSという硬い素材、上半身や水着はPVCという柔らかい素材で出来ています。
どちらも水を付けながら荒目の#400~#600で削ってパーティングラインを落としたら、全体を細目の#800~#1200くらいで磨けばすべすべお肌。
この後、出来れば塗装の下地として艶消しクリアのスプレーを吹いておくのがお勧めですが、全体を細目の紙やすりで磨いてあれば無くても何とかなります。
■修正液って何に使うの?
使用アイテム:修正液
各パーツを組み合わせた時、足の甲や背中にうっすらと青色が透ける箇所があります。目立つわけではないのですが、血色が悪く見えるのが玉にキズですね。
これを防ぐために透ける箇所の裏側、四角い穴の底に修正液を適当に塗ります。
この後、穴の側面は接着剤を塗ることになるので修正液が付かないように、ちょっとだけ気をつけます。
修正液は隠蔽力の高い白塗料として非常に優秀です。
欠点としてプラスチック上の定着力に難はありますが、どうせ表に出ない箇所なので気兼ねなく使いましょう。
背中も同様に青下地が出る箇所を確認しながら裏側に修正液を塗っておきました。
■それオレの蛍光ペンじゃない?
今回塗装のメインはこの蛍光ペンで行ないます。細い隙間にも対応できるよう、あらかじめ先端をカッターで薄く削っておきましょう。
蛍光オレンジを肌の陰になる部分に大胆に塗っていきます。
陰にだけ色が残るよう、水を付けた綿棒でオレンジを拭き取っていくと簡単にグラデーションが出来上がります。
ただ、水性故 定着力が弱いので触っているうちに凸部のマーカーが落ちて勝手にグラデーションが出来てしまうことも。
陰影が完成したら艶消しのクリア(これはホビーショップで購入)を吹いてカバーするのも手です。
蛍光マーカーは以下の塗装にも使っています。いずれも細目の紙やすりをあてるか、艶消しクリアを吹いて下地を作ってから塗りましょう。
ブルー :水着のシャドウ
パープル:リボン
グリーン:サンダル
ちなみにこれはシャドウにピンクを使った失敗例。肌色に対してマーカーの色味が強すぎたってのもあるんですが、なんか大けがをしたみたいになってしまいまして……。この後泣く泣く全部落としました。
■ふたりはマニキュア
マニキュアは表現としては面白いんですが、フィギュアに使うには塗膜が厚くなりがちなのと、表現が「周囲から浮く」ので使いどころが難しい塗料です。
今回はサンダルのストラップにラメシルバー、足のペディキュア、手のマニキュアにピンクを使用してみました。ピンクは付属の筆は使わず、爪楊枝の先で点付けしています。
■ヨキそばの材料
100均のカラーマーカー。なぜか色数だけはいっぱいあってお得感あります。
正確には100円均一では売ってないかもしれませんが、たまたま家にあった大体1本100円くらいの水性絵の具です。
ヨキそば(曜ちゃん特製焼きそば)は親切にも上下で2分割されています。
焼きそば部は茶色や緑のマーカーをムラになるように塗りたくるだけで不思議とそれっぽく見えます。
オムレツ部はケチャップ文字を赤の絵の具で塗りましたが、油性マーカーの平らなペン先で、置くように塗った方が楽だったなぁと終わってから思いました。
■シールを求めて三千歩
曜ちゃん塗装の最難関である水着のフチのライン。
隠蔽力のある修正液をぐるりと塗ることも考えたのですが、非常に難度が高いのと定着力が弱い、そして何より作業が面白くない。(←重要)
近所の100円均一を3軒回って写真のようなネイルシールを4枚買ってきました。最近こういうネイルシール扱ってる店少なくなったなぁ。途中で足りなくなると恐怖なので意識的に多めに買ってしまうのです。
先にマーカーで影を入れた後、ネイルシールをスカート、襟、リボンの装飾として貼りました。
結果的に写真のネイルシール2枚で全てのラインを貼り終えています。コツはシールを一度に貼らず、台紙の上で2~3分割してから貼っていくと曲線にも合わせやすくなります。
■完成しました。
ここまで来たら当然接着剤も100均で揃えます。このようなチューブ入りの瞬間接着剤を一度シール台紙の上に出し、爪楊枝ですくい取ってつけるようにすると失敗が少なくなります。
脚の隙間はパーツ段階で広めにオレンジを塗っておき、組んだ状態で見える部分を綿棒で拭き取ります。
巧みなパーツ分割で構成されたボディ。パーツ精度も高いので是非グラデーションを加えて楽しんで欲しいところです。
ビキニとリボンは同色のスカイブルーで成形されているのですが、シャドウに使うマーカーを変えることで違う色に見せることが可能です。
リボンとスカートのラインはネイルシール。貼るのに少々根気が必要ですが、手軽に情報量を増やすことが出来ます。
頭部は頬のピンクや髪のグラデーション塗装まで含めて完全に塗装&組み立て済。
目のグロスまで入っていて非常に高精度に仕上がっています。実際この作例も土日2日間だけでこのくらいまで作れます。
それでは、9月のお届けをお楽しみに!
ということで100円ショップ+αで出来る塗装作例をお届けしました。蛍光ペンを使っているので、写真ではそこが若干強調されてみえますが、実物はもうちょっと落ち着いたグラデーションになっています(写真&ライティングで蛍光色が反応するのです)。
肌や水着の影部分を塗るのは多少慣れが必要となりますが、他のフィギュアを参考にして塗っていけばコツがつかめると思いますし、何度でもやり直しがきくので気に入るものが出来るまでトライ可能! ぜひいろいろ試してみてください。
[colored_box color=yellow]アッセンブル・ヒロインズ 渡辺 曜【Summer Queens】『ラブライブ!サンシャイン!!』
1/8スケール半完成品・組立フィギュアキット:全高約20センチ
原型: 千鶴(鶴の館)
彩色:まいもっち(鶴の館)
制作協力:正村制作所、cyano
製造協力:ONDA
発売元:アワートレジャー
販売元:東京フィギュア
価格: 4,500円+税
2018年9月発売予定[/colored_box]
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